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写真評論家・吉村伸哉は、日本の戦後写真文化の検証と啓蒙に尽力してきた批評家であり、写真集を読むことの意義を一貫して問い続けた人物です。作家や作品の表面的な評価にとどまらず、その構成や編集、社会背景までを射程に収める論考は、写真を「見る」から「読む」メディアへと導く視座を提示しています。鋭い分析と丁寧な資料検証に基づいたその批評は、写真を言葉で捉える力に満ちています。本書は、1970年に写真評論社から刊行された、吉村による代表的な写真評論集です。国内外の重要写真集24点を取り上げ、図版とともに詳細な作品分析を展開しています。取り上げられているのは、ロバート・フランク『The Americans』、ウィリアム・クライン『New York』、川田喜久治『地図』、土門拳『ヒロシマ』など、写真史に名を刻む名作ばかりで、それぞれの構成、編集、視覚的な流れまで踏み込んで解説が加えられています。評論でありながら写真集そのものの読み方を提示する本書は、視覚芸術としての写真をより深く理解するための手引きとも言える一冊です。刊行から半世紀以上を経た今も、写真集を論じるための古典的文献として、研究者や写真愛好家に広く参照されています。