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ドイツの写真家・ユルゲン・テラーの作品集『Louis XV』。1964年ニュルンベルク生まれのテラーは、90年代以降ファッション写真と現代アートの境界を軽やかに行き来しながら、パーソナルな視点と露骨なユーモアを武器に独自の表現世界を築いてきました。ヴェルサーチやマーク・ジェイコブスといったメゾンの広告写真を手がける一方、セルフポートレートや身近な人物との親密なやりとりを写真に刻むことで、写真というメディアの私性と演出性を鋭く問い続けています。本書は、フランス・パリの高級ホテル「ホテル・ルイ15世」の一室で撮影されたシリーズで、英国の女優シャルロット・ランプリングとのコラボレーション。大胆なヌードや親密な視線、生活感の漂う空間が交錯する構成は、被写体と写真家の間にある緊張と信頼を鋭敏に映し出しています。中年に差しかかった自分自身へのまなざしと、成熟した女性との共演という文脈の中で、テラーは自身の加齢や脆さも含めて全てをさらけ出します。被写体と写真家の境界があいまいになり、見る者にさまざまな感情を呼び起こす本作は、テラーの代表的セルフポートレート群における重要な一冊となっています。