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日本の写真家・長沢慎一郎の作品集『The Bonin Islanders』。1977年東京生まれ。2001年から藤井保のもとで写真表現を学び、2006年に独立。第二次大戦後の日本に残された記憶と不在をめぐるドキュメント「Mary Had a Little Lamb」では、第49回木村伊兵衛写真賞を受賞。今注目の写真家です。本書は、2021年5月に刊行された作品集で、小笠原諸島に暮らす人々に焦点を当てた一冊。小笠原の島民と風景を丁寧に捉え、都市部とは異なる時間軸の中で生活する欧米系移住者や島に根ざす世代、漁業や漆喰造りに携わる人々の日常が、生き生きと描き出されています。撮影者と被写体の間にある信頼感が滲む静謐なビジュアルは、島という特異な場が育む人間ドラマを浮かび上がらせ、「外からの視点」と「内なる視点」を行き来する視線が交差。日本の離島文化を、文化人類学的視点で記録すると同時に、写真芸術としての完成度も高く、島の時間と人々のストーリーが呼吸する希少なドキュメント作品として評価された一冊。