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日本の写真家・高木康行の作品集『Ueki / Petits Pots et Jardins』。東京を拠点に活動する高木は、日常の中に潜む静かな自然や、都市の隙間に根付く生命の痕跡に眼差しを向けてきた作家であり、その実践は「植物を撮る」という行為を通して、人と自然の関係を詩的に問い直す営みとも言えます。本書では、東京の住宅地や路地に佇む小さな鉢植えや庭先の緑をテーマに、抑制の効いた構図と柔らかな自然光の中で、静謐な時間の流れを捉えています。被写体はあくまで匿名的でありながら、そこに宿る気配や記憶のようなものが画面からにじみ出ています。また、配置や余白の取り方にも繊細な感覚が息づいており、都市に生きる植物たちの“声なき存在”が、ページをめくるごとに静かに語りかけてきます。尚、こちらは2015年にフランス・iKi Editionsより300部限定で刊行された初版本ですが、2020年には、リブロアルテより日本語・英語・仏語併記で再刊されています。和綴じによる美しい造本も素晴らしい一冊です。