Google Translate
本書は、映画監督・鈴木清順の『ツィゴイネルワイゼン』(1980)『陽炎座』(1981)に続く、美学三部作と言われるひとつ『夢二』の上映を記念して刊行された作品集。日本のモダニズム画家・詩人である竹久夢二を題材にした非常にユニークで幻想的な伝記映画であり、鈴木清順らしい美学と耽美主義、視覚的な実験に満ちた「夢二的世界」を映像化した名作で、主演の夢二は沢田研二。その夢二を囲む女性陣には、宮崎萬純や廣田玲央名、宮城千賀子らが取り巻き、なんとスチール写真は、荒木経惟と高橋恭司が担当しています。夢二の女性への耽溺、理想と現実の乖離、そして芸術家としての孤独と執念が、絵画的な映像美とともに表現されており、荒木は「官能」「情念」「直感」を、高橋が「静謐」や「詩情」を表現したような印象です。オフショットも充実した大変貴重でユニークな一冊です。帯付。